【取材レポート】
「スウェーデン・テキスタイル 暮らしと自然に息づく北欧デザイン」
名古屋市美術館<愛知県>

美術館ファサード
もともと緑豊かな名古屋市ですが、その中心部にある都会のオアシス・白川公園内に建つ名古屋市美術館。ここでは「スウェーデンテキスタイル」展が開催中です。
アート好きの読者の皆様も、テキスタイルの展覧会に接する機会はあまりないのではないでしょうか。
ではさっそくおじゃましてみましょう。

会場エントランス。看板の上、ブタさんの鼻のようなダクト?がかわいい
「テキスタイル」とは、主にアパレル業界で織物や布地全般の「生地」を指す言葉。
対して同義の「ファブリック」は、カーテンや工業製品などで使われています。
本展来訪者の多くは女性で、装いに関心が高そうな方が目につくのも納得です。
それにしても予想を上回る数のお客様!
北欧のイメージやライフスタイルが根強い人気なのはもちろん、デザインなどクリエイティブな施設が集積する街、栄だからかもしれません。
今回は「スウェーデンのテキスタイル」に特化した展覧会。どんな展示が見られるでしょう。
カラフルでポップな楽しい展示空間

生地のマーケットのような展示風景
壁に布地を掛けた展示を想像していたら、広間には天井から色とりどりのテキスタイルが吊るされていました。なんて華やかでにぎやか!
来場者も「あれがカワイイ」「これがステキ」と、指さしながら楽しそうです。
スウェーデンは織物の長い伝統を持った国。
しかし工業化に遅れをとり、第二次世界大戦前までテキスタイルデザインはフランスやドイツからの輸入に頼っていました。
ところが戦争で輸入が滞ったため、デザインの国産化に舵を切ります。
以降、多くの才能あるデザイナーが登場することにつながりました。
スウェーデンのテキスタイルデザインは、1950〜60年代にかけて最盛期を迎えます。
テキスタイルコレクター サラ・アクステイリウス
本展で展示されるテキスタイルは、スウェーデンのヴィンテージテキスタイルのコレクター、サラ・アクステイリウス氏のコレクションが中心となっています。
お気に入りの生地を集めることから始まった彼女のコレクションは、およそ二千点にも及ぶとのこと。
テキスタイルはあくまでも工業製品としての位置づけだったため、デザイナーの名前が表に出ることはありませんでしたが、彼女は埋もれていた情報を丹念に収集していきました。その地道な研究がこの展覧会の礎となっています。
動物や花 自然をモチーフに

ヴァンニャ・ジャナイエフ《スヴァーン(白鳥)》1968年 サラ・アクステイリウス氏蔵
動物はスウェーデンテキスタイルの代表的なモチーフ。
象やラクダ、ライオンや猿などいろいろな動物が登場します。
この展覧会で一番人気の白鳥の絵柄は、入口看板でもお目にかかりましたね。
大きな布地ではないのですが、鮮やかな青色を背景に、モチーフがよく考えられたピッチで配置されているのが印象に残ります。

イェータ・トレーゴード作品展示風景
自然豊かなスウェーデンでは、草花のモチーフも欠かせません。
スウェーデンを代表するテキスタイルデザイナーの一人、イェータ・トレーゴード氏のデザインは大胆で華やか。
彼女は若手デザイナーの教育にも力を入れ、数々のデザイナーを生み出しました。

南国か?と見まごう出来
スウェーデンテキスタイルデザインは、ひとつひとつのモチーフが大きくそして鮮やか。
長い冬、家の中で過ごす時間が多くなる中でも自然を感じられるよう、明るく華やかなデザインが多いのが特徴です。
日常の暮らしをモチーフに

(左)ルイース・フォグステット・カーリン《ランズビグト(田舎)》1971年 サラ・アクステイリウス氏蔵
(右)ヴァンニャ・ジャナイエフ《イ・べショーン(庭のテーブル)[エプロン]》1971年 サラ・アクステイリウス氏蔵
日常生活をモチーフとしたテキスタイルも多く見られます。
スウェーデンの人びとにとって、夏のバカンスはとても大切。
冬の日照時間が少ないので、夏の太陽は貴重なのです。
4〜6週間という長い夏休みを別荘で過ごしたり、旅行へ出かけたり。
夏を楽しむ様子がテキスタイルにも現れています。

アウネ・ラウッカネン タイトル不詳 1965年 サラ・アクステイリウス氏蔵
お料理やお茶の時間をモチーフにした、女性の眼がハートマークになりそうなビジュアル。
ケトルや鍋などのキッチンアイテムやサラダボウルなど可愛いアイテムが並んでます。
スウェーデンのカフェタイムは「フィーカ」と呼ばれ、甘いお菓子を食べながらコーヒーやお茶を飲み、家族や友人、同僚とコミュニケーションを深める時間なのだそうです。
フィーカをイメージした可愛いテキスタイル、ぜひ会場で探してみてください。
大柄だけど軽やかな幾何学模様

どーんと大柄な作品がいっぱい
吹き抜けの天井から吊られた幾何学柄のクロス。
鮮やかな色彩と大胆なモチーフが壁いっぱいに広がり、なかなかの迫力です。
スウェーデンでは古くから菱形や縞、格子文様が用いられてきましたが、20世紀に入ってモダニズムが浸透すると、幾何学文様は新たな表現として再認識されるようになりました。

イーネス・スヴェンソン作品展示風景
幾何学模様と言えばイーネス・スヴェンソン…?どこかで聞いたことがあるかも…
そう、あのIKEAの数々のテキスタイルをデザインしたデザイナー!
どれもシンプルで鮮やかだから、どんな場面にも使いやすそうです。
ファッションとインテリア

(左・右共に)イェータ・トレーゴード《カスカード(水流)[ドレス]》1970 アンナ・ヘッグブロム・ストールハンマル氏蔵
「テキスタイル」はファッション業界の用語。
ドレスを語らないわけにはいきません。
前述したイェータ・トレーゴード氏のテキスタイルで制作したドレスです。
右のドレスと左のドレス。同じ柄の色違いって、気づきました?
生地の色と服の仕立ての違いで、生地まで全く別に見えるのが面白い。

すっきりしつつインパクトもある
大柄のデザインは、タペストリーにするととても映えます。
一枚で部屋全体の雰囲気を変えられるテッパンアイテム。
北欧デザインのシンプルな家具と合わせるとほら、素敵でしょ。

特設ショップは魅力的なアイテムがたくさん
特設ショップはたくさんのお客で大賑わい。
スウェーデン伝統の幸運の馬、ダーラナホースのあみぐるみなど、オリジナルグッズが並んでます。
木彫りのカラフルな鳥たちは、シンプルだけどあなたのテーブルやデスクの上をきっと明るくしてくれるでしょう。
テキスタイルにスポットを当てた展覧会は、本国スウェーデンでもあまり開催されていないそう。
展示空間を存分に使った、カラフルでポップな楽しい体験でした。

アントニー・ゴームリー《接近》1999年 名古屋市美術館蔵
き、救急車!この夏のあまりの暑さに…ではなくて、美術館の裏でノビてたのはれっきとしたアート作品。
ちなみに美術館ロビーの上空を人形が飛んでいますが(これもアート!)、彼が落下したストーリーでもないんだそう。遊び心にあふれたミュージアムです。
美術館や白川公園には多くの彫刻作品が置かれ、緑の中を散歩しながら彫刻を探すのも楽しいですよ。
周囲に商業施設も多く交通アクセスも良いので、ぜひ立ち寄ってみてください。
アートザウルスをご愛読の皆様に感謝を込めて、本展のご招待券を2組4名様にプレゼント!
下のボタンから奮ってご応募ください。
スウェーデン・テキスタイル 暮らしと自然に息づく北欧デザイン
会期:2026年7月11日(土)~2026年9月6日(日)
会場:名古屋市美術館
Web:https://art-museum.city.nagoya.jp /
開館時間:9:30~17:00、金曜日は20時まで(入場は閉館の30分前まで)
休館日:月曜日
料金: 一般 1,900円 大学生・高校生 1,000円 中学生以下無料


